LAMP IN TERRENワンマンツアー2017

「in "fantasia"」@名古屋CLUB QUATTRO

LAMP IN TERREN 
photo by Yuno

LAMP IN TERREN infantasia”ツアー、2本目となる公演が名古屋クラブクアトロにて行われた。アルバム曲を中心に、新旧織り交ぜて様々な楽曲が飛び出したこの日。音鳴りでは、メンバーが思わず「最高!」と笑顔を洩らしてしまうほどの盛り上がりをみせた当日をリハーサルから取材。真剣に、でも楽しそうに、ありのままでステージに立った彼らの姿を、ロングレポートでお届けする。

 

フロアに通じるドアを開けば、空っぽの箱に馴染ませるように奏でられている音。ステージの上には小さなランプがあちこちに飾られ、シンプルなセットをさり気なく彩っていた。少しして「リハーサル、始めまーす」という松本 (Vo/Gt)の声を合図に本格的な音合わせがスタート。リラックスしながらも何処か緊張感を持った空気の中、丁寧に呼吸が合わさっていく。列伝ツアー時の音設定をそのまま残していたという会場側の愛情を感じさせる一幕もありつつ、4人はどうしたらオーディエンスが楽しんでくれるか、真剣な表情で確かめ合う。開場時間が徐々に近づき、俄かに慌ただしくなるライブハウス。リハーサルが終わってからもなお、ギリギリまで響いていたコーラスの声が止み、オープンしたと同時に、興奮気味のオーディエンスが待ちきれない様子で中へと飛び込んで来た。

 LAMP IN TERREN
photo by Yuno

予定時刻を少し過ぎた頃、星が飛び散るような音と共に1人ずつ姿をみせたメンバー。ランプには灯りがともり、歓声をあげるフロアを柔らかく照らす。期待で目を輝かせたオーディエンスを前に、小さく息を吸い込むと、伸びやかに声を放っていく松本。「fantasiaにようこそ」と彼が囁いたのを皮切りに、待ち焦がれていた気持ちが溢れ出したかのように、ステージに向かって、次々と手のひらがかざされる。

 披露される度に少しずつ育っていった楽曲も、最新アルバムの楽曲も、同じようにキラキラした笑顔で楽しんでいるフロアからは、いかに彼らの楽曲がオーディエンスの日常の中で馴染んで、愛されているのかがひしひしと伝わってくる。巻き起こったシンガロングに「ナイス!」と親指を立てたメンバーも、今まで以上にこの空間を楽しんでいるように思えた。

 

LAMP IN TERREN
photo by Yuno

松本が去年秋の自分たちのツアーで名古屋に来れなかった分も想いを込めて「全身全霊、明日動けなくなるまで全力で演奏する」と意気込みを口にし、「ここにいる全員で最高の日にしましょう!」と呼び掛けると、一呼吸おいて大屋 真太郎(Gt)が影を纏ったセンチメンタルなメロディーを奏で出す。心の底にある渇望を放出するようにシャウトしたかと思えば、独りぼっちの心に寄り添い、語りかけるように声を紡ぐ松本。様々な表情を魅せる4人に惹き込まれるように、フロアは身じろぎもせずにステージを見詰めている。

LAMP IN TERREN
photo by Yuno

高純度な感情が宿った音楽を前に、ひりりと張り詰めていた空気をアコースティックの音色で解し、「ここらで此処にいる全員で曲を作っていきたいと思うんだけど付き合ってもらって良いかな?」と集まったオーディエンスに誘いかけた彼ら。手拍子と足踏みで賑やかにテンポを刻むフロアを前に松本が「皆さんの手拍子がないと、僕も拍が取れなくなっちゃうんで」と戯ける一幕もありつつ、友達の部屋に集まっているような気安さが、音を中心にして集まった全員を垣根なく笑顔に変えて行く。

骨太なベースラインから次の楽曲へと飛び込むと、ステージ/フロア関係なしに音に合わせて身体を揺らし、ライブハウスは一気に解放的な雰囲気に。どんなハプニングも笑って楽しめるようなアットホームな関係性は、彼らが飾らない姿でフロアと向き合ってきたからこそ生まれたものなのだろう。それはMCの距離感にも現れていて、オーディエンスも含めて和気あいあいと話す4人は、まるで気の置けない友人と話しているように見えた。

LAMP IN TERREN
photo by Yuno

少し改まると、今回のアルバムでようやくスタートラインに立てたような気がしていること、そして、「今までも一生懸命やってきたけどここから今まで以上に一生懸命にやっていくから」と新たな決意を口にした松本。後半戦の始まりを告げたのは、そんな誠実な想いが形になったようなバラードだ。1つずつ重ねられる言葉が手紙のような親密さをもってオーディエンスまで届き、静かな余韻に形を変えて広がっていく。手を挙げたり、食い入るような眼差しを見せたりと思い思いの方法でステージと向き合うオーディエンス。「全部見えてるよ、有難う!」と、メンバーも思わずという調子で叫んでいたが、そう伝えたくなる気持ちがよく分かるほど、オーディエンス側も4人に対して真剣に向き合っているように思えた。

 

中原 健二(Ba)Oiコールから、畳み掛けるようにラストスパートへ。手を取って駆け出して行くようなメロディーとリズムを聴いていると、4人となら何処までも行けるような気がしてくるのが不思議だ。「自由に歌ってください」と呼びかけた声に応えるようにシンガロングを繰り広げるフロアに、松本も無邪気な笑みで「負けないから」と返す。歓喜一色に染まったライブハウスは、見ているだけで幸せな気分が湧き上がってくるほどの絶景。同じ目線で一緒に楽しめる彼らだからこそ、オーディエンスもここまでの笑顔を見せるのだろう。

LAMP IN TERREN
photo by Yuno

LAMP IN TERREN
photo by Yuno

自身もほんのりと汗ばみながら「LIVEを一緒にやってる感じがあって、このセットリスト、すごく好きです」と話し出した松本。ここまでの時間を一緒に作り上げてくれたことへの感謝を口にし、「ここから始まる皆んなの日常が、もっと素敵になれば良いなって想いを込めたアルバムで、ツアーです」と今ツアーの根本にある願いを真摯な口調で告げる。

 自分たちが音楽を生業としているように、それぞれに自分の生き方があって、自分たちとオーディエンスに特別な違いがある訳ではないと前置いた上で、「好きなようにやって良いと思うし、やりたいようにやって良いと思うしでも、やらなければならないこともあります。壁は幾らでも出てきます。でも、それで、皆さんが辛くてしんどくなってしまった時に、僕たちを使って欲しい、と最近は思います。楽しい時はもっと楽しく、苦しい時はそれが少しでも軽くなるように。そんな音楽を作っていきたい。それが今、僕らのやりたいことで、やるべきことだと思っています」と言葉は続いた。

LAMP IN TERREN
photo by Yuno

LAMP IN TERREN
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 本編最後の楽曲を披露する前に、松本は「今日を今まで楽しみにしてくれたように、明日も素敵なことが起これば良いなって、ワクワクしながら眠りにつけますように」と祈るように呟いていた。まだ見えない、先がわからないオーディエンスの未来が少しでも幸せなものであるように。マイクに手を添えて、力を込めて歌を届ける姿は、まるで声の力で、この先の日常すらも照らそうとしているかのように見えた。

 ツアーTシャツに着替えて楽曲を披露したアンコールまで、あっという間に過ぎていった当日。メンバー自身もこんな日があるからこそ頑張れる、と話していたが、終演後のオーディエンスがすっきりした明るい表情でそれぞれの日常に戻っていくのをみて、改めて彼らの音楽の可能性に触れたような気がした。強引に背中を押したりはしない。でも、少し頑張れない時や、心が下を向いてしまいそうな時に、彼らの音楽は傍にいて、前を向く手助けをしてくれる。小さく灯った微かな明かりは、気付いたら希望の星に姿を変えていた。その星は、暖かく、揺るぎない光を放ちながら、これからも沢山の人にとってのかけがえない宝物になっていくのだろう。