phatmans after school
「キミノバアイハ」

“ボク”から“キミ”へ、“過去”から“未来”へ。phatmans after schoolの新譜『キミノバアイハ』は、バンドとしての成長、そして、フロントマンであるヨシダタクミ(Vo/Gt)の内的世界が更に深化したことを感じさせる、聴き手の人生とバンドが奏でる音楽を深い部分で結びつけるような1枚だ。今作には、未来に向かって進んでいこうとする眩しい決意と、決別とは少し違う、微かな温もりを感じさせる過去との別れが共存している。人間は何かを先に進めるとき、過去との別れを無しにして進んでいくことは出来ない生き物だ。過去の中に未来は存在し得ないし、過去に縛られたままで未来を生きることは難しい。そんなことは分かっていたとして、それでも簡単に割り切れないのが、人間という生き物の性だろう。今作の最後に、ヨシダは過去と未来を結びつける方法を見つけ出したかのように《曖昧な世界はいつの日も惑わすけれど 変わらない 変わらないよ僕らは 少しずつ確かめながら なぞるように今日を歩いていく》というフレーズを歌い上げている。移ろいながらも心に残った感情の全てを、噛み締め、飲みくだしながら未来へと進んでいく方法。たくさんのオーディエンスの感情を歌に変えてきた彼らが導いた答えは、彼らを信じ、想いを託してきたオーディエンスの止まってしまった時間すらも未来へと運び得る、“希望”として鳴り響いているように思えた。眩しい決意も、暖かな別れも、全てはこの場所で鳴らし切った。この1枚を胸に、次はどんな未来へと向かおうか。聴き終わった後にワクワクしてしまえるような、それぞれの旅が導き出した答えがここにある。(渡辺 真綾)